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ピストンについて・・・

ピストンはハーレーやショベルヘッドだけに限定したものではありません。 レシプロエンジンである限り、ピストンは付いています。そして、ハーレーだから・・・とか ショベルだからとか・・・という理由で、定石が変わる事はありません。

  • ピストンは非常に過酷な条件下で使用されています。燃焼時には熱分布も一様ではありません
  • 激しく摺動するのに、わずかなオイルしか供給されずにがんばっています
  • ピストンは大体、楕円になっています
  • ピストンピンが入る部分は厚くなるので、この部分の熱膨張が大きくなってしまうため、最初小さく作っているわけです。
  • また、燃焼室側の温度が高くなりますのでスカート側を広く、トップ側を小さくしています。
  • メーカによって材質も違いますし(珪素を含む4000系、銅を含む2000系とか)形状も違います。
  • また、鋳造であるか鍛造であるかでも熱膨張は変わってきます
  • だから、メーカの違うピストンの長いほうと短いほうを測って比較しても、あまり意味はありません
  • 真円に近いからいいとか悪いとかではありませんのでご注意下さい


熱膨張の動作がわかるflash

ピストンは常温では楕円だったり樽型だったりします。燃焼室で爆発し、熱がピストンに加わったときに真円になるように設計されています。 なんでこんなに楕円なんだ!と思った方、それはそれで正解なんです。常温で測定して真円に近いからこのピストンはいい、とかいうのはありませんから。

■実際、シリンダ内を往復運動する際にはシリンダと最も接触するのはピストンリングです。 組むときはピストンに傷をつけないように広げて入れましょう。向きがあるものもありますので 間違えないようにしましょう。エッジをやすりがけするのは論外です。圧縮が落ちます。 表面処理も随分進歩しております。メッキ品は遠い昔・・・。 帝国ピストンリング資料をリンクしておきますので参考にして下さい

■ピストンにはピストンピンがオフセットされたものもあります。オフセットの理由は、爆発後のピストンが下がっていく過程でのサイドフラストとピストンが シリンダ壁面に当たる打音(ピストンスラップ)の低減のようです。ハーレーのようなV型エンジンの場合は膨張行程で有利に働くように 前後で反対に組みたくなりますが、(例えばピストンのオフセットが広いほうを前後とも排気側にする)回転が同じ方向なので前後同じに組まなければなりません。 (例えばピストンのオフセットが広いほうを排気側にしたら、もう一方は吸気側を広いほうにする。) 大体、そのようなオフセットピストンにはマークがついているので、よく取り扱い説明書を読んでその通りに組んでください。 反対に組むと、オフセット量が小さいときは圧縮には影響しませんが打音の発生やスカート部の磨耗が多くなります。



純正ピストンの向き


1200ccのピストンや、マーレーなんかは向きがありますね。社外品でも向きがあります。 もう、見た目では分からない位のオフセットなんですけどね。で、その判断はピストン裏側のウェブです。これを車体右側になるように組みます。 大体、ウェブが付いている側のピストン上部には丸いへこみがあります。プラグの逃げなんかではないので、左側に組んでは駄目です。

お次はボナライトですが、ボナライトのピストンは向きがないようですね。

ちなみにこれ、30万km走行のFXSについてたピストンです。初OHするまで30万kmいじっていません。 きれいなもんですね。どれだけ、ハーレー社の組立技術がまともかを如実に語っていますね。

最後は83年後期以降のマーレーピストンです。マーレーはCNCプロファイル旋盤で加工して、バレル型のピストンになっています。

上には何の印もありませんが、裏側にはウェブが見えますね。これを車体右側左側になるように組みます。
*おやぢさんよりご指摘いただきました。マーレーが入っているショベルやエボは左側にウェブを向けます。すみません、間違えておりました。

ピストンの画像はハーレー屋まつもとで撮影させて頂きました。

ワイセコハイコンプピストンの向き

オフセットが目的ではなく高圧縮を目的としたワイセコハイコンプのようなピストンにも向きがあります。 これはハイコンプの場合、ピストンの頭が出っ張っているため、バルブとの干渉を逃がすバルブリセスが吸気側と排気側で 異なっているからです。ワイセコハイコンプの場合は排気側に向けて矢印があります。組むときにはこれを排気側に合わせます。


当然、ワイセコであってもオフセットの指示があるものはそれに従ってください。 使用したハイコンプピストンは説明書に「排気側に矢印を向けろ」とありましたの、そうしてます。

ピストンの組立などについて

■ショベルは83年後期からドイツのMAHLE社製ピストンを使用しています。MAHLE社は1977年に北米本社をテネシー州に立ち上げていますので その関係からかHD社に供給を始めたのでしょうか。
MAHLE社のHP


■ちなみにエボからはカールシュミット(コルベンシュミット)社製のピストンを使用しています。MAHLEの純正採用は短期間だったようですね。
KOLBENSCHMIDT
コルベンシュミット株式会社


■その他社外品のピストンメーカのHPです。
WISECOピストン
CPピストン
JEピストン


これらのピストンのオフセットなどに関する内容は内燃機関の基本事項です。整備士の試験に出るような内容です。 しかしながら、このような内容も理解せず独自理論を展開するショップが多いのも事実でしょう。 独自理論で整備するのは構いませんが、その結果ショベルはこんなものとか、ショベルだから 調子が悪くて当たり前とか言ってお客を煙に巻くのには憤りすら感じます。 本当にちゃんと整備してくれるショップに巡り合えない方々はどうぞ ハーレー屋まつもと に行ってください。確実に貴方のハーレライフが良い方向に進むことと思います。

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